昔々、と申しましてもそこまで昔ではない昔のお話です。 とある国の山奥深くに、大きなお屋敷がありました。 そこには大層可愛らしい姫様と、一人の執事がおりました。 姫さまは物語が大好きです。 執事は姫さまのために毎晩少しだけ工夫を凝らした寝物語を書き留め 絵本を作りました。 絵本にすれば、いつでもまたその物語を楽しむことができます。 そうして積まれた絵本の数々。 これは、その絵本の中の1つの物語――